理事長挨拶

福島県立医大消化器内視鏡先端医療支援講座 小原 勝敏

 2013年9月に開催されました第20回日本門脈圧亢進症学会総会(名古屋)におきまして、日本門脈圧亢進症学会の第5代理事長に選任されました。
ここに理事長としてのご挨拶を申し上げます。

 日本門脈圧亢進症学会は2つの研究会(日本門脈圧亢進症研究会、食道静脈瘤硬化療法研究会)が1つの学会となって、故出月康夫先生を理事長として平成6年9月に発足しました。2つの研究会の流れを汲んで誕生した本学会は、外科医、内科医、放射線科医、病理医が一堂に会して学問を行う場であり、諸先輩の先生方が苦労され積み上げてこられた学問の礎をもとに、日本特有の学会として発展してきました。これもひとえに、歴代の理事長、出月康夫先生、二川俊二先生、沖田 極先生、田尻 孝先生の多大なご尽力によるものであります。私は、これまで食道静脈瘤硬化療法研究会、日本門脈圧亢進症研究会、そして本学会で育てていただきました。その恩に報いるためにも、微力ではございますが、本学会のさらなる発展のために少しでもお役にたてるよう精一杯努力する所存でございます。
 さて、前理事長の田尻 孝先生(日本医科大学学長)は理事長在任中に大きな改革を行われました。すなわち、地域の活性化を図り、若手医師の会員を増やすことを目的に支部を設置し、各支部の支部長を代表世話人として各支部での研究会設立を推進されました。また、準備に十分な検討を重ねて技術認定制度(技術認定取得医:内視鏡治療、IVR、手術療法)が設置され、それがスタートしております。各学会の専門医制度とは異なり、門脈圧亢進症の治療に携わる医師の技術を高い基準にしたがって評価し、専門的治療を行うに足る所定の基準を満たした者を認定する制度であり、これによって本邦における門脈圧亢進症に対する治療の健全な普及と進歩を促し、延いては国民の福祉に貢献することを目的としています。本学会のホームページに技術認定制度の詳細が掲載されており、申請書類をダウンロードできるようにいたしましたので、ぜひご応募下さい。技術認定制度の参考資料としての本学会監修の「門脈圧亢進症診療マニュアル」が2015年秋に出版されますので、ご活用いただければと思います。
 2014年7月に、本学会は一般社団法人として新たなスタートを切りました。私は前理事長が行ってきた改革を引き継ぎさらに進めるために、とくに若手医師の会員数を増やすことを大きな課題と考え、興味の持てる魅力的な学会作りに取り組んでいきたいと思います。そのためにまず本学会の各種委員会を見直し、新たな委員会を設置しました。さらに理事長諮問委員会として、これまでの地区代表委員会の他に役員選考委員会を設置しました。地区代表委員会では、全国10ブロックに支部長をおき、各地区での研究会を学会公認研究会として支援することで各地区での門脈圧亢進症に関する研究の活性化を図り、本学会の活動の向上を期待するものであります。役員選考委員会は、本学会の運営やあり方について検討するコアな委員会として設置しました。
 その他の新設委員会として、医療安全委員会、田尻賞選考委員会、出月賞選考委員会を設置しました。医療安全委員会は、医療安全全般に係わる情報の収集、解析などを行うことを目的とし、今後、静脈瘤治療の現況や静脈瘤治療における偶発症に関する全国アンケート調査等を進める部門です。「田尻賞」は田尻前理事長からの寄付を原資とした優秀論文賞であり、門脈圧亢進症に関する優れた論文(和文・英文各1編)と表彰するものです。和文論文については、「日本門脈圧亢進症学会雑誌」に掲載された論文を対象とし、英文論文は公募として、田尻賞選考委員会で選考します。「出月賞」は学会発表等において優れた若手医師・研究者を対象とした奨励賞です。対象者は、40歳以下で門脈圧亢進症の研究に多大な成果をあげた医師・研究者とし、毎年2名以内の候補者を出月賞選考委員会で選考します。会員の皆様にはぜひこの賞に向けて研究発表を励んでいただくことを期待いたします。
 門脈圧亢進症に対する新しい治療法(内視鏡治療、IVR応用治療、腹腔鏡下手術など)の開発、肝不全の病態からみた新たな治療法の導入などを実現するうえで本学会の果たす役割は大であります。そのためには、学会総会の内容の充実、技術認定制度の普及、病態解明のためのデータベースの構築、さらに多施設による共同研究の推進、そして学術誌およびホームページの充実を図ることなどが重要であり、先生方のご意見を反映させながら、進めていきたいと思います。
 本学会が、役員はじめ評議員ならびに若い会員の先生方が集結して、活発に意見交換がなされる場として発展することが私のめざすところであります。
先生方には今後ともご指導、ご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。